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柘植は榛原に対し、本番中のステージから戦いを挑んだ。
しかし、榛原はそれに動じることなく、
叩きつけられた挑戦を静かに受け止めている。

そのあまりの異様な光景に会場が静まりかえる中、
口の端をニヤリと持ち上げた柘植は、大げさな動きで弓を構え、
そして突然攻撃的な演奏を開始した。

(何?)

切りかかるような激しい弓使いと、奔放で感情むき出しの音楽性に、
客席があっと言う間に飲まれていく。
柘植の演奏が尋常でないことは榛原もきっと気づいているはずだ。

(どうして? 宣貴)

こうなってしまっては柘植のリードに従うしかない。
鋭い目つきで榛原を見下ろしたまま、
柘植の長い指がバイオリンの指板を叩きつける。

――和波は俺の物だ。今この瞬間もこうして俺に寄り添い、
必死でついてくるじゃないか!

そう誇示するように、彼の弓が自由自在にうねった。

『宣貴、やめて!』

『ふん、外野は客席で大人しく見ていればいい』

ささやき声とはいえ、本番のステージ上で
演奏しながら会話を交わすなど常識ではありえない。
自分本位で、熱くなると己を抑えられなくなる柘植の勝ち気な性格は、
恋愛だけでなく、音楽においてもその片鱗をみせる。

――追従しろ。俺のものになれ!

バイオリンを通し、柘植が無言で攻め立ててくる。

『こんなの、お客さんのための音楽じゃない!』

『いいじゃないか、一曲くらい遊んだって』

柘植はリズムの間合いを巧妙に詰めてテンポを上げてきた。
演奏の主導権は、今まさに彼の手中にある。

これではハープ最大の弱点であるペダル操作が追いつかない。
煽り立てられ、守戦に回らざるを得ない和波の演奏に
焦りの色が見え始めた。

(このままだと中間部のペダルが……)おKはん、続く…

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【2012/09/27 02:20】 |  天上の調べは愛を紡ぐ
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