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チケットは前売りの段階でほぼ完売し、会場は満席状態だった。

もちろん事務所や関連企業の尽力もあるが、
海外で人気の高い柘植宣貴の日本公演に
クラシックファンがどれだけ大きな期待を寄せているか、
このことからもうかがい知ることができる。

完璧なマネージメントに満席の会場、光り輝くステージ。
あの頃夢に描いたものが今、全てここにある――。

黒い燕尾服に身を包み、
柘植は堂々たる風格で開演時刻を待っていた。

同じものを夢見たはずの二人を別離へと導いた理由が
本当は何だったのか、今となってはもうわからない。

ただはっきりとわかる事は、今夜この舞台で
再び柘植と音楽を作り上げるという事実だけだ。

「お願いします」

ステージマネージャーの合図と同時に
舞台袖の扉が床に光の扇を描きながら開いていく。

(このコンサートを成功させる!)

意を決した和波は柘植と共にステージへと進み、
満場の拍手の中で静かに頭を下げた。

そして、ほの暗い客席へと視線を上げた瞬間、
驚愕のあまりその瞳を大きく見開いた。

――榛原、さん?

後ろの客席で見守っていると言ったはずの榛原が
なぜか最前列の中央席に座っている。
しかも彼を挟むように両隣は一つずつ空席にされたままだ。

今夜のコンサートは全席指定の上、チケットは完売だったはずだ。
この場所にこの状態で席が取れるのは――。

(……宣貴?)

隣に立つ柘植に視線で疑問をぶつけるが、
彼は演奏会に集まってくれた聴衆に向けるものとは思えない
厳しい目で客席をにらみ付けている。

得体の知れない不安が、和波の胸に冷たく流れ込んできた。
ゴゴゴゴゴ……
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FC2blog テーマ:自作BL連載小説 - ジャンル:小説・文学

【2012/09/23 22:50】 |  天上の調べは愛を紡ぐ
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