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SCC関西に参加なさった皆様、お疲れ様でした。

大阪も不安定な天候が続いています。
帰り時間の夕立で一苦労なさった方もいらっしゃるのではと思います。


今回、両方のお隣りが超ベテランサークルさんでかなり緊張しました

そんな中、お立ち寄りくださった皆様に心からお礼を申し上げます。
シリーズ短編「留置線デート」のペーパーを作っていったのですが、
「いつも読んでます」とお声をかけていただいて、蕩けそうなくらい嬉しかったです。

案外ネタと起承転結に苦しむ作品なのですが、
良い訓練になっているので、また頑張って更新します!
そのうちまとめてコピー本にしようかな

新刊の『プライド狂奏曲』は書店さんで通販させていただいています。
詳しくはこちらをご覧ください。
イベントでお会いできない方は、ぜひこちらもご利用くださいね。


いつも一人参加の上に、行動がトロいため、
6号館とその他の館をまたいでの移動は控えているのですが、
今回は前々からどうしても欲しかった本があったので行って参りました。

そろそろ帰ろうかなという人の流れに逆らっての移動と、
誘導のために仕切られた順路をグルグル回ってる内に
方向感覚が分からなくなって、スタッフさんに道を尋ねる始末

夏冬のコミケには行けんな…とつくづく思いました。

で、お目当てのサークルさんの本を目の前にして
「都市伝説じゃなくて本当にあったんだ…」と感動しました。

しかし、かなり長いシリーズなのでどれを買ったらいいのかわかりません。
そこで「K阪が好きなので、K阪といい感じでバトってる本はどれですか?」
と己の欲望に忠実な質問をしてみました。

シャイな感じのサークル主さんが、困った笑顔で勧めてくださった総集編を買って参りました。
大満足です

戻ってくる時も迷ったのはお約束です。
一般参加されてる方の苦労とパワーの凄さを身に沁みて感じました。
お疲れ様です!!

そして、そんな中をお立ち寄り、お買い求めくださった皆様に
もう一度お礼を申し上げます。
ありがとうございました

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【2014/08/25 13:19】 | ■日記
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SUPER COMIC CITY 関西 20 に参加します。

 2014年8月24日(日)
 インテックス大阪  3号館 M 8 b
 サークル名:Green signal



新刊

『プライド狂奏曲』 A5 116P 700円

<あらすじ>  
日本に帰国した天才バイオリニスト 加納顕彰(かのう けんしょう)は、
共演するオーケストラで因縁のライバル 結城明星(ゆうき めいせい)と再会する。
プライドが高い加納は、コンサートマスターを務める結城に対し
「バイオリニスとしてどっちが上なのか、はっきりさせてやる!」と
火花を飛ばすのだが…。

「来い! 顕彰!」

「当然だ!!」

俊才バイオリニストと強気バイオリニストが、男の意地とプライドを賭けて一騎打ち!
…ところでソリストとコンマス、奏者として本当はどっちがエライの???


加納表紙2

お試し読みこちらからどうぞ

webにて公開したものを加筆修正しました(特にエ○を)
後日談SSが2話入っています。
*サイト内での公開は終了しました。ご了承ください。

倉田嘘さんの表紙が大変迫力です。
しおりも作っていただいたので、お買い求めの方に差し上げます。
ぜひお立ち寄りください。
そして助けると思って買ってください

既刊は4種類(鉄道3冊、音楽1冊)持っていきます。
(既刊情報はこちらをご覧ください)

当日は、まったり月イチ更新中の「留置線デート」シリーズのSSペーパーをお配りする予定です。
ペーパーだけのご来訪も大歓迎ですので、
お買い回りついでに気軽にお立ち寄りください。

しかし、ここまで長い道のりでした……。
新刊で皆さんにお会いするまであと少し。
心よりお待ちしています




書店さんにて通販をお願いする予定です。
準備が整いましたら改めてアナウンスいたします。
少々お待ち下さい。

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【2014/08/24 01:52】 | ■イベント
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天然運転士の河合と、お気遣い車掌の志水。
二人は某鉄道会社に勤める同期生、かつ秘密の恋人同士。
説明はこれだけでもう十分な二人ですが、
前のお話がちょっと気になる方はコチラへ!



      


「ぅ…」

背後からキュッと衣擦れの音がした瞬間、俺の呼吸も一緒に止まった。

「こっち向いて。帯、苦しくないか?」

長い指で浴衣の襟元を整えてくれながら河合が微笑んだ。

「大丈夫だ」

制服着て運転席に座ってる河合も渋くていいけど、
紺地に黒い細縞の浴衣もシャキッとしてて良く似合ってるよな。

どこか遠くからヒグラシの鳴く声が聞こえてくる。
蝉時雨……なんて言葉を思い出したのは何年ぶりだろう。

「行こうか」

「ん」

素足に畳の感触がさらっとしてて心地好い。
ケヤキの柱に掛けられた古い振り子時計は7時を打つと、
またコチコチ静かに時を刻み始めた。

初めて訪れた場所なのに、河合の実家はどこか懐かしい匂いがする。

「今年の夏休み、珍しく和彦がお客さん連れてくるって聞いたもんで、
ちゃっと二人分縫ったんだわ。浴衣」

玄関の三和土で蚊遣りに火をつけてた河合の婆ちゃんは、
浴衣姿の俺たちに気づくと満足そうに笑った。

河合と色違いで仕立ててくれたしじら織りの生成の浴衣は、婆ちゃんの歓迎の印だ。

「貝の口も綺麗に結べとるし、都会の人はやっぱりお洒落だわ」

「ありがとうございます」

帯は俺じゃなくて河合が結んでくれたんだけど、まあいいや。

「じゃ、婆ちゃん。行ってくるから」

「和彦、海には入ってかんでね」

海には入るなと強く念を押す婆ちゃんに、河合が低い声で面倒くさそうに返事をする。

「入るわけあらすか。花火しに行くだけだて」

へえ…、河合って地元にいるとこんな喋り方もすんのか。
電車から海が遠くに見えた時もやけに感動したけど、なんかそれ以上に新鮮だ。

「あれが俺が通ってた中学。毎日自転車でハンパない坂道登りながら海見て通った」
河合の地元語訳:毎日けったでデラ坂道登って、めちゃんこえらかったでかんわ。海? そんなん見とらせん。

浜までの途中、下駄をカラコロ鳴らしながら、
河合は自分が生まれ育った町を愛おしそうに説明してくれた。

「明日、卒業アルバム見せてくれよ」

「いいけど、どこにしまったかな」

(学生の時の河合って、どんなだろうな)

あたりが暗くなるつれて海沿いのアスファルトの小径に一つ、二つと街路灯が灯ってく。
濃い潮の香りと一緒に、松林の向こうから海鳴りが聞こえてきた。

「海だ…」

普段海を見慣れない人間って、海を前にしただけで意味なくテンションが上がるよな。

「俺、本当に河合んちに来たんだな」

夜の砂浜に立った俺は、潮風を思い切り吸い込みながら、
花火が入ったビニールパックを持ったまま、両手をうーんと揚げた。

波の音に負けないくらいの大声で「やったー! 来たぞー!」って叫んでもいいかな。
なんかそのくらいの開放感だ。

思えばあの祭の夜、本当に酷い目に遭った。
痛い。今思い出しても痛すぎる……。

『今度、花火しに行かないか? 二人だけで』

どんよりと落ち込みきった俺を慰めるように、河合がそう誘ってくれたけど、
まさか河合の実家に来ることになるなんて、あの時は想像もつかなかった。

「ここらでいいだろ。花火するだけだし」

俺の声に河合は足を止めて、沖の方を指さした。

「あっちに地続きの島みたいのが見えるだろ?
今夜は湾の反対側の街で花火大会やってるから、方角的にあそこからならきっと見える」

「花火やりながら花火大会見んのか。なんかすごい贅沢だな」

「志水に見せてやりたかったんだ」

「ありがと、河合…」

波間に浮かぶ灯浮標のランプたちが上下に揺れている。
その緑と赤色の光を眺めながら、あれは船に何を指示する信号なんだろうって
ぼんやり考える。

(船乗りもやっぱ俺たちと同じように、定時運行とか気にすんのかな……)

鉄道と違って船には線路もないし、信号も圧倒的に少ない。
大勢の人乗せて、たくさんの荷物積んで、
こんな真っ暗な中だだっ広い海を走るって、怖くないのかなあ。

その時、真っ暗だった岬の向こうの空に、光の花が小さく咲いた。

「お、始まったな。花火大会」

少し遅れて、パン…とネズミ花火が弾けるみたいな軽い音が聞こえてくる。
案外距離があるらしい。

「ほら、志水。こっち来て」

岩場の影にろうそくを灯して、河合は俺に花火を一本手渡してくれた。

キャンディーの包み紙みたいな棒の先端に、二人で同時に火をつける。
河合のから緑色の炎が噴き出したのに続いて、
俺のがパチパチ音を立てて白い炎をスパークさせた。

「おー! 遠くの打ち上げより、こっちのが全然キレイじゃん」

「火薬の臭いって、なんかワクワクするよな。危険な感じがしてさ」

「どんどん行こうぜ。次、どれにする?」

炎に驚いた蟹が、岩場を横向きにカサッと逃げていくのが見えた。




楽しい時はあっと言う間に過ぎていく。

「子供の頃さ、こうしてよく花火の残骸燃やして『たき火』なんて言って盛り上がったな。
そこらから燃えるもんかき集めてきてボーボー燃やすのが楽しくてさ」

「ああ。そんで『火遊びするとおねしょする』って親に怒られたな」

包み紙が黄緑色の炎を上げて燃え尽きると、急にあたり一面が真っ暗になった。
波の音だけがやけに大きく聞こえる。

その音に紛れるようにして、河合がぼそりと呟いた。

「志水…。せっかくの夏休みなのに、こんな何にもないとこ連れてきてごめんな」

河合の男らしい横顔の輪郭が島影に重なった。

「え、何で? 楽しいけど。普通に」

寝泊まりさせてもらって、飯食わせてもらってるのはこっちなのに、何で河合が謝るんだ?

「本当は志水に俺の家族と俺が生まれた町を見せたかったんだ」

「あ…」

河合は、子供の頃から家に人を連れてくることは滅多になかったのだと教えてくれた。

「だから婆ちゃんは喜んで浴衣縫うって言い出すし、
親父は漁協の知り合いから特上の刺身買ってくるし、
お袋は客布団と客間のエアコンまで新調しちまうし」

いや、エアコンは前から新調したかったんだと思うぞ。きっと。

でもそれって、何だか家族に婚約者を紹介する時みたいな――。

指輪をした左薬指が急にくすぐったく感じた。

「今度さ」

「え?」

「志水んちに遊びに行っても、いいか…?」

「あっ、いや、でも、俺んちは海なんてないし、
家は一応戸建てだけど隣のバカ犬の鳴き声が丸聞こえの小狭い住宅街だし、
刺身なんかスーパーで買ったのだしっ」

こんな風にどーんと腕を広げて迎えてくれるような自然もない。
ごく普通の、どこにでもあるようなありふれた街だ。

しかも家族はせっかちですぐに喧嘩するし、
週末には弟夫婦がチビ連れてきて、いつもガチャガチャしてて落ち着かない。
あんな恥ずかしい家に河合を連れてくだなんて――。

一歩下がろうとした俺の手を河合がしっかりと握った。

「いいんだ。志水が育った、そのままの街を見たいんだ」

「河合…」

「志水の家族に会いたい」

――繕うことも装うことも要らない。
そのままの自然なあなたを愛しています。

暗くて顔はよく見えないけど、河合の大きくて温かい手からそう伝わってきた気がした。

「そ、そこまで言うなら…今度来たら、いいけど……」

母ちゃんに言って、刺身は百貨店で上物を用意しといてもらおう。

「楽しみだな。きっと前の日は、駅一つ停まるの忘れちまいそうなくらいワクワクするだろうな」

そう言って笑うと、河合は俺をしっかりと抱き寄せた。

「だ、誰かいたらどうすんだよ。お前の地元だろ?」

「誰もいない。だからここにした」

夜の浜辺には。寄せては返す波の音と、遠くの打ち上げ花火の音が時折聞こえるだけだ。

「志水、顔上げて」

「…………」

顎を小さく取られて視線が一つに重なり合う。
そいういえば落ち着いてキスなんて、しばらくしてないな。

正面から真っ直ぐ来られると、未だに照れるっていうのか、
どこ見たらいいのかわからないっていうのか……。

「……」

戸惑いながらゆっくり瞼を落とす。
河合の唇が俺の唇に重なった瞬間だった――。


  怒涛の後編へ!→

目次にもどる

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【2014/08/13 15:36】 |  シリーズ短編
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「冷たっ!」

ザンッと音を立てて、波がいきなりくるぶしまで押し寄せてきた。
緩んだ砂地と一緒に、引き波に両足を持っていかれそうになる。

「マズい。大潮だったのか…」

河合が空を見上げて低く呟いた。

「志水、行くぞ」

「な、何だよ」

せっかく良いムードだったのに、その気にさせといてもう終わりかよ! 
何でお前はいっつもこうなんだよ、バ河合!

「潮が満ちたらここは沈む。しかも潮汐差が大きくて、船でないと渡れないくらい深くなるんだ」

「エエぇ――――ッッ!!!」

「もうここまで水がきてるのか。志水、下駄脱いで走れ」

潮の流れってこんなに速くて重いもんなのか?
走れば走るだけ岸に近くなってるはずなのに、逆にどんどん深くなってくるじゃないか。
船でないと渡れないってことは、ここは背がつかないくらい――。

膝まで水に浸かり始めた時、俺の足が止まった。

「何してる、志水? 急げ」

「河合……お、俺、かなづちなんだ……」

「え?」

「泳げないんだよっ!」

チビの頃、年上のいとこにプールに突き落とされて溺れかけてから、
俺は水が大の苦手になった。
そのせいで泳げなくて、いつも2学期の体育の成績は最悪だったんだけど、
体育の成績くらいじゃ死んだりしないって今日まで高をくくってた。

絶望的だ。

「……」

河合は黙ったまま浴衣の両裾をめくってそれを帯に差し込むと、
固まったまま足が一歩も前に出ない俺の前に屈んだ。

「おぶってやるから乗って」

「でも、それじゃ河合が…」

「早く。ここは3メートルくらいの深さになる」

「乗る! 乗らせていただきます!!」

俺は夢中で河合の背中にしがみついた。

俺を背負って河合は韋駄天のように走った。
揺れる背中の上で、河合の温もりだけが頼りだった。

水見たら怖くて気を失ってしまいそうだから、目はギュッと瞑ったままだ。
波の音すら怖い。すっげー怖い。
けどきっと大丈夫だ。
だって俺には河合がついてる――。

「志水、頼む。何か喋ってくれないか」

「え?」

「俺、婆ちゃんに昔っから……『引きずり込まれるから盆には海に入るな』って…言われてるんだ」

(ギャ――――――ッ!! 今言うなよ、ソレを!)

でも、河合の声がいつになく硬い。

長身の河合ですら既に腰まで浸かってる。
しかも潮の流れがだんだん早くなって波が荒くなってきてるのは、
背中に負ぶさってる俺にもわかるくらいだ。

普段どれだけ冷静でも、泳げない俺を背負って波に逆らいながら進む河合が、
どんなに危険と責任を感じてるかなんて考えるまでもない。

――そ、そうだ。景気付けに歌でも歌ったら……。

って、ダメだ、こんな時に限って『兄弟船』しか浮かばねえ。
今、海の歌なんか歌ってどうするよ、俺!

こんな時、何話したらいい?
明るい声で元気よく、澱みなくハキハキと――。

遠い沖に、灯浮標の緑色の信号がはっきりと見えた。

「あ、安全の確保はッ! 輸送のっ、生命であるッッ!!!!」

「は!?」

驚いて振り向いた河合をよそに、俺は無我夢中で運転安全規範の綱領を叫んだ。

研修所の初等訓練で血を吐くほど唱和させられた
「運転の安全についての規範」を、死んでも忘れるはずがない。

「ほら、河合も一緒に唱えろ! 規定の遵守はッ?」

「あ、安全の基礎である!」

「「執務の厳正はァッ! 安全の! 要件であるッッ!!」」

3つ目の綱領は二人同時に叫んでいた。

「次っ、規定いくぞ! 第1条! 運転に関係のある従業員はァっ!」

だだっ広い夜の海原で、俺と河合は見習い生の時みたいに、
声が枯れそうなほどの大声で運転安全規範を唱えて、岸を目指した。

「第3条! 規定の遵守」

「声が小さい! 帰って飯食いたいなら、もっと気合い入れろッ! もう一回っっ!!」

あん時、デコって呼ばれてた教務係が、
薄くなりかけたおでこを真っ赤にしながら同じこと言ってたっけ。
デコの教えが、まさかこんな所で役に立つなんて。

「「第3条ぉッ! 従業員はァッ! 運転取扱に関する規定をッ! 
忠実且つッ、正確に守らなければならないッッッ!!」」

高波を顔にモロ被って、口の中が塩漬けみたいだ。
二人の胸まで水が来てるけど、怖いもんか。

俺には河合がいる。
俺は河合のために安全の規範を叫び続けるからな。

生きて帰って、河合の父ちゃんの用意してくれた特上の刺身を食うんだ!
河合を俺の家族に会わせてやるんだ!!

「「第5条ぉっ! 連絡の徹底! 従業員は、作業にあたりッ――――」」

読み上げが6条、7条と進むに連れて岸が少しずつ近づいてくる。
しかし、波に逆らって大声張り上げながら海中を歩いてる上に、
体温を奪われて疲労がハンパない。

「「第9条っ……事故の、防止! 従業員はっ、一致協力して、事故の、防止に努め……」」

もう声が、出ない……。
砂に足を取られながらも、ようやく岸にたどり着いた俺たちは、
そのままもつれ込むようにして砂浜に転がった。

「ハァ、ハァ……第10条って……何、だったっけ…?」

花火大会は終わったんだろう。
もう波の音しか聞こえない。
河合の問いに、俺は満月を見上げて息絶え絶えに答えた。

「ッ……えっと……事故が発生した場合……んー、アレだ。
全力を尽くしてその救助に努めなければならない…って、奴だ」

「プッ…、ククッ、やっぱ志水は最高のパートナーだ。アハハハ…」

「何だよ。笑うな、よ…クッ…ハハ…アハハハッ」

ずぶ濡れの浴衣をはだけたさせたまま、
俺と河合は思い切り抱き合うと、大笑いしながら砂地を転がった。

――河合、河合。誰よりも愛してる。
どんなに苦しい時でもお前を信じてる。

深く交わした砂利混じりの口づけは、今まで味わったことがないような塩辛さだった。


――その後、二人は近くを警らしていたお巡りさんに見つけられ、
職務質問を受けそうになるという、これまた最悪な事態に陥る。


「ちょっと、あんたら。何してんの? こんなとこで。……まさか薬やってんじゃないだろうね」

「眩し…」

制服のお巡りさんにLEDの懐中電灯で顔を照らし出されて、俺はうめき声をあげる。

「あっれぇ? もしかして河合じゃん」

逆光でよく見えないけど、お巡りさんが懐かしそうな声で
河合に話しかけてるのだけはよくわかった。

「加藤…か? 高校卒業してすぐ3組の沢井とデキ婚した、野球部の加藤!」

(つか、同級生かよ!)

「何してんのぉ? こんな大潮の夜に。もしかして心中?」

「「違うわ、ボケッ!!」」


(続く…)

 ←前編へ
       月の鏡へ→

目次にもどる




今回の二人は特にガチャガチャしてしまいました。
夏だし、ま、いいか 

8月24日のスパコミにて河合と志水のssペーパーをお配りいたします。
ぜひお立ち寄りください。お待ちしています。

例によって今から書きます……。

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【2014/08/13 15:35】 |  シリーズ短編
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『プライド狂奏曲』 試し読み






「どうなんだ? 加納」

「ぁ……」

答えは決まっているはずなのに、声にならない。
滝のような冷や汗が、雨で肌に張りついたシャツを更にじっとりと濡らしていく。

「この後に及んでまだプライドの方が大切なのか?」

「違う! 俺はっ、俺は……」

心を読まれた焦りで口ごもる加納に、結城は困った顔をしたが、
やがて何かを思いついたように口の端を上げた。

「今日の昼間、『バイオリニストとして、俺とお前のどっちが上なのか決めてやる』って言ったよな?」

――言った。確かに言った。

あんなに渇いていたはずの喉がゴクリと鳴る。

「お互いバイオリンでは長年に渡って張り合ってきた間柄だが、
このあたりで男としてどちらが上なのか決着をつける、というのはどうだ? 加納」

「結城……一体、何を……?」

「鈍い奴だな」

結城は勝ち誇った笑みを浮かべながら、指の背で加納の頬をそろりとなで上げた。

「お前を抱かせてくれたら、俺の楽器を貸してやってもいい」

「ゆ、結城っ。お前、まさか!」

コンクリートブロックで頭を殴られたのと同じくらいの衝撃が走った。
結城に同性愛の趣味があったなんて初耳だ。
アメリカでの演奏生活で、そういうコトも覚えてきたのだろうか?

つまり彼はバイオリニストとしての立場か、男としてのプライドか、
どちらか一つを選べと言っているのだ。

「傘も買えずに、ここまで歩いて来たくらいだ。所持金もほとんどないんだろう?
帰りのタクシー代なんて払えるはずがない」

「う…」

「終電は行った後だぞ」

痛いところを突かれた。

「俺の相手ついでに、今夜からこのままうちに滞在してくれて構わない。
悪い条件じゃないと思うが、どうする? 加納」

「くっ……」

どうしたらいいのだろう。
因縁のライバルに体と心を蹂躙されるその屈辱に、耐え抜くことができるだろうか。
葛藤に震える両手を握りしめながらも、加納は自分を取り巻く人々のことを思った。

今回のコンサートに携わる数多くの企業とスタッフ、それに伴って動く多額の資金。
そして東都シティ・フィルへの責任と、大勢の音楽ファンから寄せられる期待と熱意。

自分には彼らを守る義務と責任がある。
今、世の中から求められているのは、一人の人間ではなく、
バイオリニストとしての『加納顕彰』だ。
ここで逃げることは、プロ奏者として絶対に許されない。

――ならば答えは一つだ。

「それで問題が解決するなら、こんな体お前にくれてやる!」

黒い勝気な瞳に力を込め、加納は精一杯の虚勢を張ってみせた。

「バイオリンのためになら殉じることができるのか……」

結城の整った顔が僅かに歪んだ。

「なら、さっさと脱げよ」

「今、ここで、か?」

「家の中を水浸しにするつもりか?」

髪や衣服から伝い落ちた滴が、フローリングに小さな水たまりをいくつも作っている。

結城は意地の悪い笑みを浮かべながら命令を下した。
楽しいお遊びを目の前にしていても、口調はいつもと変わらず涼しいままだ。

今の自分には選択肢がない。
昼間見たあのオーケストラの連中と同じように、
彼の指示を守り、命令に従うより他に道は残されていないのだ。

その屈辱感で全身が震えた。

「わかった…」


加納書店用2 続きはぜひ紙の本で!

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【2014/08/13 01:51】 | ■紙の本 試し読み
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天然運転士の河合と、お気遣い車掌の志水。
二人は某鉄道会社に勤める同期生、かつ秘密の恋人同士。
説明はこれだけでもう十分な二人ですが、
前のお話がちょっと気になる方はコチラへ!


あくまで架空の鉄道会社のお話です。お好きな駅名などを当てはめて、夏をお楽しみください。


         



(あー、頼むから乗るならさっさと乗ってくれ。ド初っぱなからいきなり遅延気味じゃんか)

立ち番の駅助役に『早く戸閉め合図のスイッチ押せ!』と念を送るが、
ダメだ、こりゃ。完全に舞い上がってる。

(ただでさえ臨時列車突っ込まれてグダグダなのに勘弁してくれよ!)

今夜は沿線で祭があるせいで、ホームも車内もあふれ返りそうな混雑ぶりだ。
どっちかっていうと、沿線の客より遠方から繰り出してきたお客の方が多いから、
乗り降りも必然的に澱みがちになる。

こんな仕事だからワガママ言うつもりはないけどさ、
できれば祭の花火奉納があるこの時間帯にだけは乗務したくなかった。
しかも河合の運転で!

(俺たちこういう行事のある日は、いーっつも仕事なんだよな)

あー、みんないいよな。
祭で花火でデートでラブラブで!
俺ら仕事だぜ。
しかも先頭車と最後尾だから、顔すら合わせられないんだからな。

ほらみろ、グズグズしてるから浴衣姿の女たちが、もう1組突進してきたじゃないか。

「ムリ、足痛くて走れない」

「つかコレ急行? ○○停まんの?」
(お好きな駅名を入れてください)

(今日は全車停まるって表示してあるだろうが。しかし何で浴衣にミュールなんだ?
あ、コラ。ホームと列車を跨いで立つな! 浴衣で勇ましく股広げるなよ。
そんなの見たくな――)

お、ようやく表示灯がつきやがった。

(許せ、河合。初っぱなから30秒遅延だ)

申し訳ない気持ちを込めて、合図の電鈴を遠慮がちに2つ鳴らす。

――気にすんな。

そんな軽やかな返鈴がカンカンと鳴った。

俺が安全を最優先にするとわかってるから
多少遅れを出しても、河合は絶対に焦らない。

30秒なんて日常生活では誤差みたいなもんだけど、これを2駅繰り返したら1分の遅れになる。

ヨシ! ここからはピシッと巻き気味でいくぞ!
気を引き締めて発車アナウンスを入れる。

『本日も○○電車をご利用いただき、誠にありがとうございます――』


地下線を抜けた列車は快調にスピードを上げていく。
予定より少し遅れて普通列車を追い抜いたが、まあなんとか許容範囲内だ。

「この調子だと次で祭客を降ろす時がカギだな…」

川の向こう側に見え始めた祭の花火を睨みながら、自分に言い聞かせるように呟いてみる。
これ以上河合に負担は掛けられない。

みんな心が逸るんだろうな。
まだ小さくしか見えない打ち上げ花火に、誰もの目が釘付けだ。

序盤の仕掛けが花開き始めた時、突然運転席からのインターホンが鳴った。

(どうしたんだ? 河合……)

今まで何度も河合と一緒に乗組やってるけど、
急に連絡なんてあいつらしくない。
車両に何か不具合でもあったんだろうか。

(まずいな…)

今夜は臨時列車でダイヤも車両もギチギチだ。
受話器を取る左手が緊張で強ばった。

「はい。車掌です…」

「花火、綺麗だなあ。志水」

「ハァ!?」

「そっちからも見えるだろ? 花火」

「だ――――――ッ!!  くだんねえ事でインターホン使うな! バ河合」

こいつは本当に期待どおりのアホだ。
おかげで呆れ声がでんぐり返ったじゃねえか。
緊張した俺の胸のドキドキを返せ、この大バカ野郎!

つか、お客に私用通信がバレたらどうすんだよ!

「大丈夫だって。みんな花火見てるし、俺は遮幕下ろしてるし、
志水だけ澄ました顔で話してたら問題ない」

「俺だけ一人損じゃんかよ」

「いいじゃん。急行だし。しばらく停まんないだろ」

「そういう問題じゃねえよ」

車掌の顔のまま恋人と話すのって、お前が思ってるよりずっとずっと難しいんだからな!

「また仕事になっちゃったな」

言うなよ、今それを。いろんな意味で泣きたくなる。

「俺、前しか見てられないからさ、その分志水がいっぱい見といてよ。花火」

当たり前だが、運転士には前方注視義務がある。
河合が見てもいいのは信号機と標識、それに進路が安全であるかどうかだけだ。

「……しょうがないな。今、赤くてデッカいのが上がった。
緑の枠のが被るように広がって、あ、今の音がネオンブルーの土星みたいな形のやつ――」

心を躍らせる光の花が夜空にドンと広がる度、俺はその色や形、流れていく様を細かに実況していく。
前を見ることしか許されない恋人のために。

「で、次の音のが枝垂れ柳。今、キラキラの蛍光ピンクの星みたいのが降ってる」

「本当だ。パラパラって聞こえる。それって流れ星みたいな感じ?」

「えっと、魔女っ子の変身シーンみたいな感じ」

「わかんないよ、志水の例え」

「うるさいわ!」

笑いを堪えた低めの声が返ってくる。

「最近の花火って、色とか形とか進化してて本当に綺麗だな」

「って、河合。わかんのか?」

「うん。志水の説明でよく見える」

だからお前はニュータ○プかよ!

「志水と花火見れて、今夜は俺、本当にラッキーだな」

嘘だ。
本当は自分の目で見たいに決まってる。

「全然見てねえじゃん、お前……」

「んー、でも音は志水と一緒に聞けた。それだけで十分だ」

もしも二人一緒に休みだったらさ、浴衣なんか着て、
祭の人混みで「暑い」とか「座る場所ない」とか文句なんか言いながらかき氷食ってさ、
ドーンと音が鳴るのと同時に真上を見上げるのに。

掴めそうなほど近くに広がっては消える無数の光の粒に
二人で手を伸ばしてみるのに。


打ち上げが中休みに入ったのだろうか。
急に静けさを取り戻した空には、花火の残した煙が風に運ばれることなく、
水饅頭みたいに丸く残るばかりだ。

「じゃ、俺そろそろ一仕事するわ」

「だからもともと仕事中だ。何度も言わせるな。切るぞ」

河合に有無を言わせず、俺はぶっきらぼうに受話器を置いた。

制限速度の解除区間に入ったんだろう。
薄闇の中、ほのかに照らし出された運転台の計器に目をやる。
スピード計の針は静かに右に傾いていく。

ああ見えても河合は定時運行の鬼だ。
出発で俺が出した30秒の遅れを今、黙って取り戻してくれている。

計器類に灯るLEDランプの赤と緑が、打ち上げ花火の色と重なった。

――今夜、仕事が終わったら河合と二人で花火やろうかな。

コンビニに売ってる小さいのでいい。
河合に花火を見せてやるんだ。

どっちが線香花火を長持ちさせられるか競争して、
最後は火玉の取り合いなんかしたら楽しいだろうな。

紅色の薄紙で巻かれたの軸の先からは緑の炎、
すぐに噴き出してくる白い炎と、都会の夕日のみたいに真っ赤な火玉、
スパークするオレンジ色の松葉――。

手にしたささやかな光は、どんな名花火師が打ち上げる豪華なスターマインより、
きっと何十倍も何百倍も鮮やかな色と輝きで、
河合の笑顔を照らしてくれるだろう。




――その後二人は、近所の公園で花火をしようとしていたところで、
宿泊所の仲間に乱入されてしまった上に、調子に乗った先輩車掌のおかげで
警ら中のお巡りさんに職務質問をされるという、最悪の展開を迎えるのであった。


「だ――――ッ! ちょっと!! 線香花火に全部いっぺんに火ぃつけるの、やめてくださいよ!!」

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くどいようですがフィクションです! こんな危険な電車はございません。

7月中にUPしたかったのですが、間に合いませんでした

各地で花火大会のピークを迎えてますね。
もう何年も見に行ってないので、見てみました。ネットの映像で…。
最近の花火って色も形も格段に増えて、本当に進化してるんですね。
来年はぜひ本物を見たいです。
(今年じゃないのか?)






以下、コメントへのお礼です







留置線デートシリーズをお気に召していただき、本当にありがとうございます!

この作品はエ○がないためか、読者さんの反応は薄いです(´∀`)
働く男の恋愛事情をこっそり垣間見る……というスタンスで書いていますが、
それをお伝えしきれない力の無さをお許しください。
自分の中ではこの二人が最もエ○いです(*^-^*)ゞ
「あー、この後コイツら、ヤってんな…」的な意味で。

毎月彼らにはどこで何をしてもらおうか、楽しく悩んでいます。
こ、今月もどうしよう

更新はまったりですが、また覗きにいらしてください!
お待ちしています。



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【2014/08/02 04:09】 |  シリーズ短編
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