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ここしばらく、お素敵な文章だけに浸っていたら
どうしても鉄道について触れたくなって参りました。

バカバカしいので読める方だけ読み流してください……。




私はK阪電鉄をとっても愛しています。
先日、始発駅で5000系の車内写真を撮りました。
(熱い鉄道ファンには今更な写真ですが……)

5000系には1両に5つも扉があります。
ラッシュ時にドバッと降りてドバッと乗るためです。
5扉だから5000系? ……深く考えてはいけないようです。

「3つより4つ。4つよりも5つやろ」です。
いらちなO阪人にはうってつけの車体です。

しかし5つ扉がある分、座席が少なくなってしまいます。
「座られへんやんけ!」
という、いらちなO阪人のために、なんと閑散時には座席が降りてきます。

「どこから……?」
「天からです」 合掌。

詳しい説明は面倒く……じゃなくて
熱い鉄の皆さんがよくご存じなので、ここでは割愛させていただきますね。


ラッシュ時運用以外は、扉の前に補助椅子が降りています。
*この状態で背後の扉が開くことはありません。
 トロッコ電車みたいにはなりませんから安心して座ってください。


5000系1



補助椅子が昇降するための溝があります。
跳ね上げつり手なので背の高い人の乗降も大丈夫。

5000系2


遠方よりO阪にお越しの皆さま。
ぜひK阪電鉄をご利用ください!
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【2012/07/31 16:46】 |  日記(鉄道)
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「この曲をご存知の方がいらっしゃるとは驚きました」

半ば強引に勧められてテーブルに着いた和波は、
アイスティーを運んできたウェイターの手元にちらりと視線を移した。

「亡くなった母はハープ奏者だったんだ。
実は今日君が弾いたラウンジのハープは母の物なんだよ」

「え? お母様の楽器?」

「ああ」

榛原はもう一度懐かしそうな目でハープを振り返った。

グランドハープは高価な楽器としても知られている。
いくら自分が経営するホテルだとはいえ、母親の形見ともいえる楽器を
惜しげもなくティーラウンジに常置してしまう榛原の感覚に、
和波は驚きを隠せない。

「そんな大切な物をラウンジに置いたりしていいんですか?」

「家で眠らせておくには忍びなくてね。ラウンジでこうして
お客様に演奏を聴かせてもらえたら、母も喜んでくれる気がしたんだ。
だからこそ心を許せる人にあの楽器を弾いてもらいたかった」

「そうでしたか……」


和波は目を伏せ、目の前に置かれたアイスティーが映し出す琥珀色の影に、
主を失った楽器の寂しげな音色を重ね合わせてみた。

「君はあのハープの思いを読み取り、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
そうした優しさを響きで表現できる人にしか、
ここでの演奏を任せたくなかったんだ」

榛原は単なるわがままで事務所にNGを出し続けてきたのではない。
大切な楽器を委ねるからこそ、奏者にこだわりたかったのだろう。

そんな彼が、初対面の自分のことを心許せる相手だと信じてくれた。
この指先が紡いだ音楽に共感してくれた。

その喜びに和波の胸は震え出しそうになる。


「お母様はきっとお優しい方だったんでしょうね……。
古い楽器は前の持ち主の性格が音に出ることがありますから」

確かにあのハープは営業用の飼い慣らされた楽器とは異なる、
純粋な響きを持っていた。
もしかしたら自分があのエチュードを選んだのは単なる偶然ではなく、
楽器自身の『歌いたい』という願いを
指先が感じ取ったからなのかもしれない。


「ありがとう。これからもぜひ君にあの楽器を弾いてもらいたいんだが、
お願いできるかな? もちろん都合がつく日だけで構わない」

「いいんですか? 僕で」

「君だからこそ弾いて欲しいんだ」

榛原の迷いのない言葉は和波の心を真っ直ぐに射抜いた。

「ありがとうございます。
では榛原さんから事務所にそうご連絡いただけますか」

「交渉は成立だね。ところで――」

小さく安堵する和波に、榛原は待ち構えていたかのように
もう一つの依頼を繰り出してきた。

「実は、母が死んでからずっと眠らせたままのハープが
うちにもう一台あるんだが、ぜひ君に調子をみてもらいたいんだ」

「えっ?」

「来てくれる、かな?」

自宅にいきなり招待され、和波は驚きでもう一度目を見開いた。

さすがは会社経営者だ。相手を自分の領域に誘導するなどお手の物なのだろう。
彼の用意周到な商談技術に、和波はあっという間に流されていく。 

「ぁ、はい……」

「じゃあ、これも私から宮村君に伝えておくよ」

見事リードに成功した榛原は、満足げな笑みを浮かべた。


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【2012/07/30 18:57】 |  天上の調べは愛を紡ぐ
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しなやかに伸びた両手が緩やかな音の波を紡ぎ出す。
四十七本の弦から生み出される音楽は、
アトリウム型のホテルラウンジに降り注ぐ光をオーロラのように
揺らめかせていた。

――クライアントは気に入ってくれるだろうか?

優雅な音楽に人々が陶然とする中、
ハープ奏者の白澤和波(しらさわかずは)は
自分の指先から紡ぎ出される音に全神経を注いでいた。
楽器に反射する午後の光が、
弦を見つめる伏し目がちの長い睫毛に集まり、
散っていく。

貴公子のように整った横顔をわずかに緊張させると、
和波は足先で金色のペダルを素早く踏みこんだ。


事務所のマネージャーである宮村の話によると
「ワガママなクライアント」は今までの奏者では
ことごとくお気に召さないらしく、
このホテルに派遣されたハーピストは自分で四人目だ。

ということは、クライアントであるこのセレスティアホテルのオーナー、
榛原冬吾(はいばらとうご)はよほどのクラシック通なのだろうか。

ホテルにハープが常置してあること自体がまれな上に、
これまでの奏者たちの演奏に大きな落ち度があるとは思えない。
たかがラウンジ演奏に経営者が直々に関わってくるというのも妙な話だ。

しかしこちらもプロだ。自分の音楽で満足してもらいたい。

音大を卒業して五年、中性的で整った容姿を持つ和波は、
事務所からソロ演奏の依頼が回ってくることも多く、
他の奏者に比べて仕事面ではかなり恵まれている。

(この楽器にはたぶんこの曲が一番似合うな)

周囲の様子を見回した和波は、ステージの終曲に
あえてエチュードの一曲を選んだ。

本来こうした場での流し演奏にエチュードは不向きなのかもしれないが、
和波はこのハープの音色にはこの曲が似合うと確信していた。
ラウンジに常置された営業用楽器にしては、
ずいぶんピュアな響きを持っている。
イージーなクラシックの小品だけで終わらせてしまうのはちょっと可哀想だ。

(思った通り、ピッタリだ!)

ハープ特有の柔らかな音色と美しい分散和音が、
澄んだ湖に寄せるさざ波のようにどこまでも広がっていく。
練習曲とはいえ、学生時代から何度も何度も弾いてきた大好きな曲だ。
三拍子系の明るい曲想が、クライアントへの不安を少しずつ消し去っていく。

シルクジョーゼットの白い袖が低音弦へと伸びる度に、
古代ギリシア調の彫刻が施されたグランドハープの支柱がたおやかに振れた。


「優しい音のするいい楽器だったな……。お疲れ様」

ねぎらいを込めてハープのネックをそっと撫で、立ち去ろうとした和波を、
男性の穏やかな声が呼び止めた。

「それ、ナーデルマンのエチュードだね」

「え?」

年は三十代後半くらいだろうか。
イタリア製の物と思われる仕立ての良いチャコールグレーのスーツを
着こなすその男性は、和波が胸に抱いた外版譜の表紙に視線をやると、
くっきりとした二重瞼の目を懐かしそうに細めた。

「やっぱりそうだ」

「あ、はい。そうですが……」

(誰……?)

こんなマニアックな練習曲を知っているなんて、同業者か音楽評論家だろうか?
しかし、狭いこの業界でこんなに目立つ人物と一度顔を合わせたら
忘れるはずがない。
むしろ忘れることができないほどの魅力が彼にはあった。

彫の深い顔立ちと緩いウェーブのかかった栗色の髪に加え、この背の高さだ。
彼はハーフかクォーターなのかもしれない。
知性を湛えた深い琥珀色の瞳は真っ直ぐこちらに向いていた。


「久しぶりに聴いて懐かしい気持ちになったよ。白澤君といったね。
君の選曲かい? 優しいけど芯のあるいい演奏だった。
ここで演奏してもらうのは今日が初めてだったよね?」

「あの、なぜ……?」

名指しで繰り出される質問に、和波が睫毛を瞬かせる。

「これは失礼」

男性はここでようやくしまったという顔をすると、
ケースから名刺を取り出し、それを和波に手渡した。

「……榛原、さん……。あの、オーナーの!?」

噂の『ワガママなクライアント』を目の前にして、
和波は長い睫毛をもう一度瞬かせた。


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【2012/07/28 02:28】 |  天上の調べは愛を紡ぐ
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